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【スマホ世代が分析】『M愛すべき人がいて』ドラマ挿入歌 平成の歌姫「浜崎あゆみ」がMへ綴ったラブソングの数々 

 歌姫の暴露本とも言われた、『M 愛すべき人がいて』が発売されて半年以上が経った。ドラマ化や、バラエティ番組で取り上げられるなど、歌姫の秘められた恋は、未だにムーブメントを巻き起こしている。

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 デビュー曲の『Poker face』から、19枚目のシングル『M』までのほとんどが、max matsuuraことMに送られたラブレターだったということが明らかになり、曲を振り返ると、なるほど!となる箇所がたくさんあった。ドラマ内で挿入歌として使用された歌たちを中心に、振り返っていく。

 

1.pocer face

 
浜崎あゆみ / poker face (Short Ver.)

1998年に発売されたデビュー曲。様々なタイアップが組まれ、大きな注目を集めた。

 【いつだって泣く位簡単だけど笑っていたい】

当時のインタビュー記事には、「泣いてもいいよ あゆが代わりに笑ってあげるから」という言葉が綴られた。「泣きたくない」「笑っていたい」という感情を、ただ単純に表すのではなく、「泣く」ことは簡単でラクなこと。ずっと笑っているのは、疲れるかもしれないけど、それでも私は笑っていたいという意思表示のようにも感じる。

【他には何も望まないからたったひとつそれだけでいいあなたの愛が欲しいよ】

この部分は、Mに向けて送った言葉出会ったことがドラマ内で明かされた。祖母の死で絶望の淵に立たされたあゆが書き上げたデビュー曲。その絶望を救ってくれたのは、歌であり、Mだったのかもしれない。

 

2.YOU


浜崎あゆみ / YOU (Short Ver.)

1998年6月10日発売。デビュー曲『poker face』に次ぐリリースシングル。前作のわずか2ヶ月後に発売した。この曲で、初のMステ出演。

 【きっとみんなが思っているよりずっと キズついてたね 疲れていたね 気付かずにいてごめんね】

【そばにいるだけでただ 心が癒されていく そんな支えにいつか なりたいと願うよ】

avexのヒットメーカーとして、孤独にプレッシャーと闘っていたMへ送った歌詞のように思える。プロデューサーとアーティスト。Mは、プロデューサーだから、アーティストである自分に辛い表情は見せてくれない。そんな葛藤も匂わせる。あゆにとってMは、「そばにいるだけで心が癒されていく支え」だったのかもしれない。

 

3.A Song for XX


「A Song for ××」COMPLETE 2000-2018

1999年1月1日に発売された初のオリジナルアルバム『A Song for XX』の収録曲。あゆファンの聖歌と言っても過言ではないほど、「浜崎あゆみワールド」を体現した楽曲。

 【いつから大人になる いつまで子供でいいの どこから走ってきて ねえどこまで走るの】

【居場所がなかった 見つからなかった 未来には期待できるのか分からずに】

【人を信じることっていつか裏切られ はねつけられる事と同じと思っていたよ】

【一人きりで生まれて 一人きりで生きて行く きっとそんな毎日が当たり前と思ってた】

あゆが、寂しかった幼少期を思い出して書いた楽曲と言われている。ドラマ内では、Mに「作詞をしてみろ」と言われ、初めて作詞をした歌となっていた。問いかけから始まるこの歌詞は、Mに対する問いかけも混ざっているのかもしれない。あゆは、度々自分が歌い続ける理由について、「居場所が欲しかったから」と語っている。そんなあゆの居場所をくれたのが、「歌」であり、それを導いたのがMだったのだ。居場所がなく、未来に期待できるのか分からない若者の葛藤を歌い上げ、たくさんの共感を生んだ。

 

4.Boys &Girls


浜崎あゆみ / Boys & Girls

1999年7月14日発売の9枚目シングル。この曲で、初めて日本レコード大賞を受賞。紅白歌合戦にも初出場を果たすなど、転機となった楽曲。

 【輝きだした僕達を誰が止めることなど出来るだろう

著書『M 愛すべき人がいて』の中で、Boys &Girlsは、M&あゆのことであると明かされた。「二人で作り上げた”浜崎あゆみ”は、マサにも、あゆにも、手に負えないモンスターになってしまったね」という言葉の真意が隠されているような歌詞。二人で作り上げた”浜崎あゆみ”は、輝きだして、誰にも止められなくなっていたのかもしれない。もちろん二人にも。

【背中押す瞬間に忘れないでいて この夏こそはと交わした約束を】

【本当は期待している 本当は疑っている 何だって誰だってそうでしょ】

背中を押す瞬間は、Mがあゆのことを商品として輝くように応援していた時。そんな時にも、この夏こそはと交わした約束(著書内で、夏には二人で旅行に行こうと約束していたと明かされている)を忘れないでほしいという意味が込められているように感じる。本当は行けるはずないという気持ちと、行けると信じたいという気持ちが交差していたのかもしれない。

【「イイヒト」って言われたって「ドウデモイイヒト」みたい】

若者によくある、「イイヒト」と言われたくないホリックを素直に表現した歌詞。あゆは、時代の先駆者として、誰も成し遂げていないことにこだわっていた。「ドウデモイイヒト」になりたくないという強い信念が込められている。

 

5.appears


浜崎あゆみ / appears

1999年11月10日に発売された2ndアルバム『 LOVEppearsと同時発売の30万枚完全限定生産シングル。アルバムとシングルを真逆のイメージ展開し、「白アユ」「黒アユ」のネーミングが流行した。

 【恋人たちはとても幸せそうに手をつないで歩いているからね まるで全てのことが上手く言ってるかのように見えるよね 真実はふたりしか知らない】

Mとの別れを決意した絶望の最中に書いた歌詞であると言われている。Mステにて、『appears』を号泣しながら歌っていたことがあり、いろいろな憶測が飛び交ったが、Mとの破局直後であったことが20年後に明らかになった。

 

6.Fly high


浜崎あゆみ / Fly high

1999年11月10日に発売された2ndアルバム『 LOVEppears』からのリカットシングル。30万枚の限定生産で発売された。

 【離れられずにいたよ ずっと 見慣れている景色があったから】

【怖がって踏み出せずにいる一歩が 重なっていつからか長く長い道になって 手遅れになったりして そのうちに何となく今の場所も悪くないかもなんて思い出して 何とか自分に理由つけたりした】

Mとの決別を決意した時期に書いた楽曲なだけあって、恋人から離れたいけど離れられない複雑な乙女心が表現されている。長く付き合ったり、密度が濃いほど、別れで人生が変わってしまう。Mと出会って人生が180度変わったあゆにとって、Mとの決別は計り知れないほど大きな不安だったのだろう。スターダムに駆け上がるにつれて、プレッシャーも増える。「逃げたい」と思うことがあっても、逃げられないから、どうにか自分を誤魔化して生きて行くしかないい。『Fly high』は、そんな心情も表現されているように感じる。

【何だか全てがちっぽけで 小さなかたまりに見えたのは 仰いだ空があまりに果てしなく 広すぎたからだったのかもしれない 君のとなりにいたからかもしれない】

スターになるために大きな期待や不安を背負ったあゆ。あまりに凄いヒットメーカーとの交際により、自分に自信がなくなってしまった日があったのかもしれない。しかし、全てがどうでもよくなってしまうくらい恋に焦がれたという見解もできるフレーズ。仕事と恋愛の葛藤を見事に融合させた1曲。

 

7.M


浜崎あゆみ / M

2000年12月13日に発売された19枚目シングル。『SEASONS』以来となる初動50万枚以上を記録し、累計売上は約132万枚。

【MARIA 愛すべき人がいて 時に強い孤独を感じ だけど 愛すべきあの人に結局何もかも満たされる】

著書のタイトルともなった楽曲。Mとの決別を決意した際に作ったとされている。浜崎あゆみ第一章の閉幕。それは同時に、第二章の幕が上がった瞬間だった。タイトルの『M』は、恋人のイニシャル。

【それでも全てには必ずいつの日にか 終わりがやって来るものだから】

【今日もまた この街のどこかで 別れの道選ぶふたり 静かに幕を下ろした】

【だから祈っているよ これが最後の恋であるように】

どんなに激しく、身を焦がす恋愛をしても、いつか終わりがやってきてしまう。大失恋をした者にしか知り得ない感情を繊細に表現している。「静かに幕を下ろした」と言っているのに、「これが最後の恋であるように」と祈っている。もう、こんな恋愛はできない、これ以上好きな人に出会えないと思ってしまう、失恋直後の感情が表れている。

【理由なく始まりは訪れ 終わりはいつだって 理由をもつ…】

出会いには意味がなかったのかもしれないが、好きになって、両思いになって、喧嘩して、仲直りして…そんな毎日が終わることには、必ず意味がある。今のこの失恋の辛さも、いつか意味になるという願いが伝わる歌詞。

 

8.Voyage


浜崎あゆみ / Voyage (Short Ver.)

2002年9月26日に発売された28枚目シングル。この曲で、「日本レコード大賞」と「日本有線大賞」を受賞した。

 【僕達は幸せになるため この旅路を行くんだ ほら笑顔がよく似合う】

【色褪せる事なく蘇る 儚く美しき日々よ 眩しい海焦がれた季節も 雪の舞い降りた季節も いつだって振り向けば あなたがいた】

【何度道に迷ったのだろう その度にあたたかい手を差し伸べてくれたのもあなたでした】

Mと別れた後に出した楽曲だが、ドラマ内で挿入歌として使われていた。Mとの別れからしばらく経って、一歩引いた目線で大恋愛を懐古しているように感じる。本の帯に書いていた「自分の身を滅ぼすほど、ひとりの男性を愛しました」というほどの大恋愛を、乗り越えて、「儚く美しき日々」と言っているのが凄い。Mを題材にした曲であると考えると、「身を滅ぼすほどの恋愛でも、何年後かに思い出したら温かい思い出になるよ」とあゆが教えてくれているような気がする。

 

あゆの歌は、時を超えていつだって若者の心を救ってくれた。大好きな人ができた日、大失恋をして泣いた日。いつもあゆの歌は側で寄り添ってくれた。それは、あゆ自身が人生を懸けた大恋愛をして、傷つき、泣いて、笑って、立ち上がって、歌い続けたからなのだろう。この作品を見て、より、あゆの歌を身近に感じることができた気がする。

 

(※ドラマと本に書いてある内容を基に分析した個人の意見です)