メディア学科卒・エンタメ大好き女子が独自の視点で書き綴ります✎☡ 𓂃𓈒𓏸(記事中敬称略させて頂いております)

【ドラマコラム】''なんかしなきゃ''と焦っている人の心をほぐす新感覚ドラマ『レンタルなんもしない人』

 

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  4月8日からスタートした「レンタルなんもしない人」。このドラマは、フィクションかのように思えるが、実は''レンタルなんもしない人''という職業の人が実在する。そのため、このドラマに出てくる依頼者のように、いつか自分もレンタルさんをレンタルする日が来るかもしれない…と思いながら見ると、なお面白い。

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  NEWSの増田貴久演じる「レンタルさん」こと森山将太の最初の依頼者は中年男性。「一緒にメロンクリームソーダを飲んで欲しい」という依頼だった。理由は、1人の時も家族といる時もメロンクリームソーダを注文しづらいから。何となく分かるけど、何となく分からない微妙なラインの依頼が面白い。一緒にメロンクリームソーダを飲み、交通費と飲食代だけを貰って、少しのうんちくを聞き、この日の勤務は終了。

  「レンタルさん」の仕事は、1人で入りにくい店や、ゲームの人数合わせ、花見の場所取りなど、ただ1人分の人間の存在が必要な時に依頼される。''なんもしない''というのは、「レンタルさん」の主観的なものであるため、線引きは難しい。「レンタルさん」の夢は、ずっとなんもしないこと。

  続いての''なんもしないこと''は、大宮亜希(志田未来)からの依頼。出版社の契約社員だったが、契約を切られて実家である栃木県に''都落ち''するため、「東京最後の一日に付き合ってほしい」とのこと。依頼理由は、1人では寂しいし、友達を誘うと名残惜しくなるから。こちらも分かるようで分からない微妙なラインの理由だ。

  亜希が東京に出てきた日に登ったという東京タワーに一緒に登りながら、契約社員として働いた4年の思い出を語るのをただ聞く「レンタルさん」。''石の上にも三年''と思いながら頑張ってきた亜希だが、どれだけ頑張っても正社員と契約社員の差は埋まらなかった。

   栃木の母からの仕送りである野菜を見て、「これ全部東京にもあるから」と電話口で言う亜希に、「こっちの空気吸ってるから、東京より美味しい!」と明るく話す母。どっちの空気が私には合うのかな?と考え、涙を流す亜希が印象的だった。亜希は、東京で爪痕を残そう!と張り切りすぎていたのが自分を苦しめていたのかもしれない。

  そんな亜希が、「レンタルさんは、爪痕を残そう!とか思ったことないんですか?」と問いかける。「ないですね。なんもしてないけど、毎日そんな悪いもんじゃないです」という言葉に、最初は驚きを見せるも、「悪いもんじゃないか…」と泣き出す亜希。「レンタルさん」の言葉が、人の心を軽くした瞬間だった。

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   普段のように仕事ができないこの状況だからこそ、「レンタルさん」の言葉を聞いて、少しゆっくり歩いてもいいかな?と思って欲しい。もっと頑張らなきゃ、取り戻さなきゃ、と焦るのではなく、''なんもしない''自分も許してあげて欲しい。このドラマは、そんな''なんかしなきゃ''と焦る人達の心を軽くしてくれるような気がする。

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