メディア学科卒・エンタメ大好き女子が独自の視点で書き綴ります✎☡ 𓂃𓈒𓏸(記事中敬称略させて頂いております)

【ドラマコラム】SNS世代の心を鷲掴みにした『恋つづ』新たなドラマヒットの法則

 

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最終回視聴率15.4%(ビデオリサーチ調べ)と、大ヒットで幕を閉じた「恋はつづくよどこまでも(恋つづ)」。

このヒットの理由には、SNSを上手く利用したプロモーションが大きく関わっていた。

現代において、「あなたの番です」をはじめとしたミステリードラマが流行しているのは、Twitterで考察をしてハッシュタグで検索したり、トレンドにドラマの名前が入っているのを見た人がドラマを見始めたりすることが理由として挙げられる。

考察系YouTuberなどといったドラマを考察するYouTuberが出てきて、10万再生以上をコンスタントに記録しているのも現代ならではの特徴だ。

現代では、ドラマをヒットさせる上で「SNS」は切っても切り離せないものとなっている。

このSNSを上手く作用させたのが、「恋つづ」である。

 

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上白石萌音演じる七瀬の相手役・天童を演じた佐藤健は、LINEやライブ配信などのSNSを酷使してドラマ視聴者を上手く増やしていくことに成功した。

佐藤の公式LINEは、登録者数380万人(3.23現在)を越すほどの人気ぶり。

このLINEが大人気となった理由は、「彼氏感」

にある。

普通の公式LINEと言えば、機械的なものが多い。しかし、佐藤の公式LINEは一味違う。

 

「あとでラインする」

「家ですか?」

「明日の夜はお暇ですか?電話しますね」

 

など、機械的な公式LINEとは正反対の''彼氏感''溢れるLINEが届くのだ。

このLINEを、「会話が成り立った!」などとTwitterに投稿する人が続出。

それを見た人が、公式LINEに登録し、佐藤の魅力にハマる。そして、ドラマを視聴するようになるという法則が誕生した。

 

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また、佐藤はライブ配信サービス「SUGAR」にて、「恋つづ」放送前に生配信を行った。

しかし、こちらもただの生配信ではない。

「SUGAR」の通知が着信のようになっているのに加え、選ばれたラッキーガールは通話を行うことまで出来てしまう。

この「SUGAR」でも、直後にそのまま「恋つづ」を視聴するというルーティンを確立させた。

つい数分前まで「SUGAR」で身近に感じたあと、七瀬とイチャイチャする天童を見て、嫉妬心を抱く女子も少なくないだろう。

しかし、嫉妬も恋のエッセンスなのだ。

こうして、「恋つづ」しかり、「佐藤健」から離れられない女子が急増した。

 

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https://twitter.com/koi_tsudu/status/1228282833552080896?s=21

 

これだけでは終わらない。

「恋つづ」Twitter公式アカウントでは、「佐藤健」の彼氏感溢れるショットや、「たけもね(佐藤健上白石萌音)」の本物のカップルかのような写真が投稿された。

TBSの''王道恋愛ドラマ''で大ヒットを収めたものは、花より男子松本潤、花のち晴れの平野紫耀をはじめとしたアイドルが演じることが多かった。

しかし、この戦略は俳優「佐藤健」だからこそできたのだと思う。

女優とのラブラブツーショットを投稿し、視聴者をストーリーにのめり込ませることが出来るのも俳優ならでは。

俳優でアイドル並に「リア恋」させられる人物が出てきたのは、これからの恋愛ドラマ界において大きな功績となっただろう。

 

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また、恋愛シュミレーションゲームをしているかのような撮影法も女子たちをメロメロにさせ、放送後には「恋つづ」に関わる言葉がトレンドに溢れた。

 

考察系ミステリードラマが大ヒットしている今、恋愛モノをヒットさせるのも「SNS」がカギとなっている。

これからの【恋愛ドラマヒットの法則】を作った「恋つづ」に心からの拍手を送りたい。

https://www.tbs.co.jp/koitsudu_tbs/

 

 

【ドラマコラム】竹内涼真が『テセウスの船』で開拓したイライラさせないポンコツぶり

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私は、今季の「主演男優賞」はテセウスの船で田村心を演じた竹内涼真だと思う。

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https://thetv.jp/feature/drama-academy/

その理由は、竹内涼真の「イライラさせないポンコツぶり」にある。

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田村心(竹内涼真)の父・文吾(鈴木亮平)は、事件の原因となった青酸カリが自宅で押収されたことにより、犯人とされて獄中に入った。

にも関わらず、タイムスリップしてきたためそのことを知っているはずの心が、青酸カリを探し始めたのは警察の自宅押収が行われたあと。

第9話で心が、「よし、青酸カリはない!」と言った瞬間、「本当に大丈夫?一緒に探してあげようか…」という気持ちにさせられた。

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普通だったら、「主役頼りなさすぎだろ」とイライラしたシーンかもしれない。

というか、心にはそういう''ポンコツ''なシーンが多いのだ。

しかし、なぜか憎めない。

逆に応援してあげたい気持ちになってしまう。

これこそが、竹内涼真が新たに開拓した「イライラさせないポンコツぶり」のように思う。

竹内涼真が一躍時の人となった「過保護のカホコ」では、竹内涼真演じる自立した青年麦野くんが、ポンコツで過保護なヒロインカホコ(高畑充希)に説教をするシーンが多くあった。

そんな竹内涼真が、「テセウスの船」では逆にポンコツ主人公を見事に演じ切っている。

ミステリードラマをやる上で、主人公がポンコツというのはある意味タブーなのかもしれない。

しかし、テセウスの船で竹内涼真はそれをやってのけて、高視聴率を収める成功を遂げたのだ。

きっと、テセウスの船の高視聴率には、「竹内涼真から目を離せない」親心のようなものを抱いた視聴者がたくさんいたということも影響しているのかもしれない。

 「なぜか応援したくなる」竹内涼真の人物像が、テセウスの船のヒットにも繋がったのだろう。

「この人だったから楽しく見れたよね」という主人公こそが、主人公としてふさわしいのだろうな、とテセウスの船の田村心が教えてくれた気がする。

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https://www.tbs.co.jp/theseusnofune/

‪私の冬クールドラマアカデミー賞「最優秀作品賞について語る」‬

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https://thetv.jp/feature/drama-academy/

 

今季も投票が開始されたザテレビジョンによる「ドラマアカデミー賞」。

結果発表前に、私の今季の「ドラマアカデミー賞」とその理由を綴っていきたいと思う。

 

まずは、最優秀作品賞

【やめるときも、すこやかなるときも】

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日本テレビにて毎週月曜深夜24:59〜放送)

藤ヶ谷太輔Kis-My-Ft2)×奈緒のコンビが織り成すラブストーリーだ。

日テレのシンドラというと、佐藤勝利(SexyZone)×髙橋海人(King&Prince)の共演で話題となった「ブラック校則」や、SnowManの4人が出演した「簡単なお仕事です。に応募してみた」か記憶に新しい。

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ブラック校則

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簡単なお仕事です。に応募してみた

 

いわゆる、ジャニーズの青春ドラマ枠でシンドラ初のラブストーリーとして放送されたのが「やめるときも、すこやかなるときも」だ。

初見の感想は、描写が綺麗なこと。映画を観ているかのような錯覚を起こす風景や人物の撮り方がとても美しい。

また、恋人・家族・友人・恩師…たくさんの関係図を詰め込んでいるのにごちゃごちゃにならずに上手くまとまっているのがすごい。

奈緒演じる桜子の恋人・壱晴は、''記念日反応''というある記念日が近づくと声が出なくなってしまうという病気を抱えている。しかも、その理由が元カノの死にあるということが判明してしまう。付き合っている相手の元恋人はどうしても気になってしまう存在なのにも関わらず、病気の原因になっていてその恋人が今はこの世にいないとは、なんとも辛い設定である。

また、桜子は家族にも問題を抱えている。働かない父は母に暴力を振るい、母も「やめて」ということが出来ない。桜子は自分の稼ぎで家を支えているのだ。

そんな桜子と、''記念日反応''に苦しむ壱晴が出会い、恋をするのだが、桜子の元カノに対するコンプレックスや、元カノを乗り越えようとする壱晴。元カノ問題だけでなく、さまざまな問題が出てきてしまう。

そんな問題も、色んな傷を抱えてきた2人が「傷つかなきゃ分からなかったよね」と前向きに乗り越えていく。そんなストーリーに必ず勇気をもらえるはずだ。映画のような感覚で見て欲しいドラマ。

 

 

【ドラマコラム】自由って冷たいようで温かい 『やめるときも、すこやかなるときも』のストーリーが教える本当の思いやり

 

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9話で印象的だったシーンは、ずっと家に縛られ続けてきた桜子(奈緒)が家族から解放されるシーンだ。

 

父が母に振るう暴力。しかし、「嫌だ」と言えない母。また、父は無職のため桜子は自分の稼ぎで家を支えていた。桜子はそんな家に嫌気をさしながらも 、「自分がいなきゃこの家は成り立たない」と感じ、実家から離れられないでいる。

 

しかし、今話。壱晴(藤ヶ谷太輔)との別れに落ち込み寝込む桜子に対し、母が「お父さんのことや家のことが気になっているなら、前にも話したけど心配しなくていいのよ」と語りかける。桜子は、暴力を振るい稼ぎもなく飲み歩いてばかりの父を抱え、「心配しなくていいのよ」と言われたって…という顔を浮かべる。

 

「お母さん、桜子には幸せになって欲しいのよ」と続ける母に被せるように、「結婚しないと幸せになれないの?」と問いかける桜子。

この「結婚しないと幸せになれないの?」の問いかけには、失恋した後のショックさと、家庭というものに憧れを持てない心情が入り交じっていたのだろう。

「押し付けないでよ!自分は大して幸せでもないくせに!私お母さんみたいになりたくない!」と罵声を浴びせる桜子に、「今までごめんね。お母さん、桜子に甘えるのはやめにする」と言い切る母。いきなりの宣言に戸惑う顔を浮かべる桜子に、「お姉ちゃんをもう解放させてあげて欲しいって言われたの」と、桜子の妹が同居したいと言っていることを話す。

 

「私、追い出されるの?」と言った、桜子の表情が印象深い。''早くこんな家を出たい''と思っていたはずなのに、いきなり解放されると戸惑う。''頼られるのが面倒くさい''そう思っていたはずなのに、頼らないと言われると寂しくなる。この時の、「解放させてあげたい」の言葉は、桜子にとっては温かく感じたのだろうか。それとも冷たく感じたのだろうか。きっと後者だろう。しかし、本当に愛情がこもっているのは「束縛」し続けることよりも、「自由」にさせてあげることだと思う。このドラマの中でも、桜子を「束縛」し続けた方が、両親はラクに生きられる。しかし、「自由」を与えてあげることは深い愛情のように感じた。

 

実家を巣立ち、一人暮らしを始めた桜子が、「自分が支えているつもりだったけど、私は私であの家に依存してたんだなって」と意外なセリフを口にするシーンがある。ずっと縛られていたものが、急に解放されてしまうと誰しもが戸惑うものなのだろう。

 

「自由」を与えるタイミング。そして、「自由」こそ本物の愛情なのだということをこのドラマが教えてくれた気がする。

 

■放送情報
『やめるときも、すこやかなるときも』
日本テレビにて、毎週月曜深夜24:59〜放送中(Huluでも配信)
出演:藤ヶ谷太輔奈緒、五関晃一、火野正平金澤美穂浅見姫香、中井友望、遠山俊也手塚理美
原作:窪美澄『やめるときも、すこやかなるときも』(集英社文庫刊)
脚本:桑村さや香
演出:小室直子
音楽:赤い靴
編成企画:田中宏史、川口信洋
チーフプロデューサー:福士睦
企画プロデューサー:⻑松谷太郎
プロデューサー:能勢荘志、高橋淳之介(「高」の正式表記はハシゴダカ)、松山雅則
制作プロダクション:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビジェイ・ストーム
(c)NTV・J Storm
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tomoniikiru/
公式Twitter:@tomoniikiru_ntv
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