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【ドラマコラム】『エール』窪田正孝×二階堂ふみが魅せる夫婦の形

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半年間続く物語の幕を開けた朝ドラ「エール」。ストーリーは紀元前1万年前、原始人の2人の姿から始まった。昭和の話だと聞かされていたので、戸惑った視聴者も多いだろう。あらすじを知らずに見た人は、今回の朝ドラはこんなに前の話をやるのかと驚いた人もいるかもしれない。この演出は、「古来音楽は人とともにあった」ということを伝えるために作られた。「音楽は、人の喜びを大きく楽しく盛り上げてくれる」「音楽は、人の悲しみに寄り添ってくれる」「音楽は、折れかけた心に力を与えてくれる」「音楽は、現実逃避の手助けをしてくれる」。などと音楽の在り方を伝えながら、窪田正孝が陽気なダンスを繰り広げる。「色々やってますが、音楽は素晴らしい 音楽が奏でる人生の物語です」と茶目っ気たっぷりなオープニングは、朝ドラに苦手意識があった人もとっかかりやすくなったに違いない。

主人公の古山裕一(窪田正孝)は、1964年の東京五輪で「オリンピックマーチ」を手がけた人物。そのため、聖火リレーやオリンピック海外式などの様子が作中にも使われた。本来は今頃、東京五輪を目前として盛り上がっていたはずの日本を想定して「エール」は制作されたのだろう。作曲を依頼された裕一が、「東京オリンピックは他のオリンピックと違いますぞ。悲惨な戦争、廃墟と化した日本。もうこれで終わったと思われた日本がそこから力を合わせて脅威の復興を遂げた姿をどうだ!世界に宣言する」と言われるシーンがある。

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ここで、今行われようとしてる「東京五輪」と、56年前に行われた「東京五輪」の違いを世の中に再確認させたかったのだろう。「エール」は現代の日本において忘れかけていた大切なことを伝えてくれるドラマになるはずだ。

東京五輪開会式当日。自分の作った曲が世界中に鳴り響くプレッシャーから逃げ出す裕一。いつの間にか消えてしまってどこにいるか分からない夫を、「トイレにいるはず」と、探し出す妻・関内音(二階堂ふみ)。「大丈夫!あなたの曲は素晴らしいんだから」と励まし手を引く音と、「無理だよ」と弱気な態度を見せる裕一を見ていると、積み上げてきた2人の夫婦の形が垣間見えたような気がした。「おしどり夫婦って感じとはちがうんですけどね」と言われている2人が、どのようにして夫婦の形を築いていったのか。音の力強い「エール」を受け取り、力に変えていく裕一の姿を半年間見続けていきたい。

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https://www.nhk.or.jp/yell/story/week_01.html